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デザイナーのアイデアってどこからでてくるの? Sumiko Honda/本田純子の場合「スケッチ」

デザイナーのアイデアってどこからでてくるの? Sumiko Honda/本田純子の場合「スケッチ」

最高級ファブリックコレクション Sumiko Honda を支えるテキスタイルデザイナーの本田純子。今年は薔薇と蝶をテーマにした新作「光と香りの色」をリリースしました。
色鮮やかな薔薇の花々や、その花に舞う蝶をモチーフとしたカーテンが掛けられた豊かな空間・・・。移ろう季節・自然の彩りをお部屋に取り入れることで、自宅で過ごす時間を少しでも自分らしく豊かに暮らしていただきたいとの想いから製作したインテリアファブリックには、本田のファブリックへの愛情がたくさん詰まっています。
ブランド発表から二十数年間、新しい作品を生み続ける彼女の思考回路を少しのぞいてみました。

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毎日作品を生みだすクリエイティブ集団 デザイナー

突然ですが、あの人の頭の中はどうなっているだろう・・・と考えてしまう事はありませんか? 特に自身と全く違うゾーンに属する人々に会うと、この人は同じ人間か? この人は何を考えているんだろう、どのような思考回路だったらそうなるのだろう・・・等々。
筆者にとっては「デザイナー」と呼ばれる人々もその一種で、どうして毎日毎日「デザイン」という作業が出来て、新たなデザインが生み出せるのだろうと、その思考は理解の域を超えています(苦笑)。

川島織物セルコンはファブリック(布/織物)を製造しているメーカーです。企画やデザインを担当する従業員もおり、「デザイナー」もいます。帯や緞帳の図柄を考えるプロダクト(ファッション)デザイナー、織物の織り方を考えるテキスタイルデザイナー等のデザイナーが在籍しています。
デザイナーらは、紙に落書きのような事をしてみたり、真剣に筆で画を描いてみたり、パソコン画面とにらめっこしてみたりしながら、来る日も来る日も何かを生み出しているクリエイティブ集団なのですが、どうやったらそんなにモノが生み出せるのか不思議なんですよね・・・。

スケッチブックやクロッキー帳は、いつもカバンに忍ばせている。「最近はクロッキー帳の方が多いかな」(本田)

本田純子の創造の原泉はスケッチ

一口にデザイナーといってもアイデアの貯め方やデザインの生み出し方は人それぞれ。川島織物セルコンのファブリックブランド「Sumiko Honda」をディレクションしているテキスタイルデザイナー本田純子のアイデアの元はスケッチ。小さなスケッチブックをいつも持ち歩き、気になるものに出会うと立ち止まってスケッチするという。散歩の途中で見上げた空や雲、自宅の庭に咲いた花、飼っている愛犬など。時には石ころのようなものも描いてみたりする。

感動を記録する

スケッチブックは学生時代から持ち歩いている。きっかけは目にした美しい物や感動を記録しておきたかったから。今ならばスマホで記録するのかもしれないが、当時はスケッチが一番の方法だったし、何より描きたかった。そうして描きためたスケッチブックは100冊にも上る。スケッチすることは、アイデアをためる事でもあるが、気持ちを整えることでもある。本田は「表現したい事、描きたいことは頭の中に常にあふれていて、どちらかといえばありすぎる状態。それをスケッチすることで、並べたり整理しているのかもしれないなぁ」と言う。たまにスケッチブックを見返してみる。スケッチすると言うことは、その時その事象に心を揺さぶられたということ。最初の感動や、美しいと感じた素直な気持ちを思い出すために、スケッチブックを見返す時間も必要なのだ。

薔薇の花は相当な数を描いた。

本田が担当するSumiko Honda は、1998年の発表以来、ほぼ毎年新作を発表し続け、 41柄172アイテムを有するブランドに成長した。毎年秋から冬にかけて本田は渋い表情を見せることが増える。翌年の新作の製作が佳境に入るのだ。大好きなファブリックを生みだせるこの環境に入られることはとても嬉しいし感謝しているが、生みの苦しみには毎年遭遇する。

今、少しでも安らいでいただけるファブリックは何だろう
どんなファブリックがある部屋ならば、元気になって頂けるのだろう

描きためたスケッチブックをパラパラとめくりながら、考えをめぐらす日々が続く。

テーマが決まると、デザイン画の作成が始まる。まだしばらく気の抜けない状況が続くが、このころになると、本田は作業に没頭する。クリエーターにとって「苦しいけれど楽しい」時らしい。ただ、周囲は大変だ。本田は集中するあまり、電話が鳴っても気づかない、メールの返信も無い・・・。「あのぅ・・・本田さん大丈夫ですか? 連絡が取れないんですけど・・・」とこんな問い合わせが入ることも。

この時代に考えたこと 新作のテーマは 薔薇 と 蝶
Sumiko Honda 2021「光と香りの色」

『自分らしく豊かに暮らすためにはどうすればよいのだろう?』
おうち時間が増えたコロナ禍で、これからの「住まい」や「暮らし方」について向き合わなければならない状況に置かれ、本田が出したテーマは、薔薇と蝶でした。

描きためたスケッチや自らカメラに収めた写真を並べながら、構想を練っていく。

日本の四季をめでるファブリックを制作し、一人でも多くの方にファブリックで安らぎをお届けするという Sumiko Honda シリーズの原点に立ち返ろうと考えたのです。薔薇の花は Sumiko Honda 初期の頃にも製作しており、このシリーズにとってキーアイテムでもある花です。その花にもう一度向き合い、初心にかえることを考えました。

蝶は Sumiko Honda 初登場の生き物。
Sumiko Honda のお花畑を飛び回って欲しいという思いから取り入れました。

そして薔薇の花をモチーフとした「オノラーレ(Onorare) 」、花々に蝶が舞い降りる「コンソラーレ(consolale)」を完成させました。

左:オノラーレ/Onorare (ピンク)
右:コンソラーレ/consolale (グリーン)

一人でも多くの方にファブリックで良い空間・安らぎを提供したいと、今日も本田はスケッチを続けます。

プレスリリース 最高級ファブリックコレクション Sumiko Honda 新作発売  「光と香りの色」

Sumiko Honda ブランドサイト

Sumiko Honda公式Instagram 

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