Morris Design Studio

William Morris（ウィリアム・モリス）

19世紀の英国に生きたウィリアム・モリス。彼は、詩人であり、デザイナーであり、そして理想を追い求めた思想家でもありました。「芸術は、生活のすみずみにまで息づくべきもの」そう信じたモリスは、美しいものが人の心を潤し、日々の暮らしのなかにこそ真の芸術が宿ると考えました。自然の樹木や草花をモチーフに描いたテキスタイルや壁紙は、やがてアーツ＆クラフツ運動へとつながり、大量生産の時代において、手仕事の尊さを見つめ直すきっかけとなります。空間を、日常を、詩情で満たすモリスのデザイン。100年以上の時を超えて、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。

Emery Walker（エメリー・ウォーカー）

エメリー・ウォーカー卿は、1851 年にロンドンのパディントンで生まれました。彼は、モリスにとって共同制作者であり、同志、友人、そして隣人として特別な存在でした。印刷業者やデザイナーとしても活躍し、アーツ＆クラフツ運動の重要な担い手の一人として、モリスのケルムスコット・プレスを支えました。
彼が暮らしたハマースミス・テラス7番地には、モリス商会が手がけたオリジナルの家具や装飾品が今も大切に保存されています。 1999 年からは、エメリー・ウォーカー・ハウス財団や彼の家族の手によって、その貴重な遺産が受け継がれ、今日も守られ続けています。

Morris Design Studio（モリスデザインスタジオ）

川島織物セルコンは、2000年より、英国サンダーソンデザイングループのライセンスのもと、モリスのデザインを展開しています。「Morris Design Studio」は、モリスのパターンが持つ繊細な美しさと力強さを、日本の織の技術で現代の暮らしに調和させることを目指したブランドです。
モリスのデザインの魅力である繊細なラインや複雑な色の階調を、織物ならではの表現力を駆使して描き出しています。配色と織組織によって、圧倒的な色彩の豊かさと立体感を実現できます。モリスのデザインを忠実に織り上げるために、川島織物セルコンでは、織設計、糸染め、製織などの工程を一貫して手がけています。熟練の技術者による試作と調整を幾度も重ね、丹念に仕上げられた織物です。

エメリー・ウォーカー邸にインスパイアされた新柄カーテン

「Morris Design Studio」より、エメリー・ウォーカー邸にインスパイアされた新作を発売します。モリスのオリジナルデザインが宿す伝統の美しさを受け継ぎつつ、エメリー・ウォーカー邸を彩っていたカーテンや壁紙などの意匠を、クオリティーの高い織と色彩豊かな刺繍で現代の空間にふさわしいかたちに表現しました。
織設計を担当した、商品開発部設計開発グループの古川によるクオリティー説明とともに新柄をご紹介します。

【ドレープ】MM3101（ローズ）

チューリップとバラの花が華やかに咲き誇り、茂みの中では陽気な2羽の鳥が戯れる、優雅で生き生きとしたデザインです。この柄は1883年、モリスによって家具用ファブリックとして制作され、彼の親友であるエメリー・ウォーカー卿の居間にも用いられていました。バラの花は、繊細な織りのグラデーションによって、豊かな色彩と立体感が表現されています。

クオリティー説明
バラは織組織の細やかなグラデーションで色彩に奥行きを持たせ、葉は経綾（たてあや）による糸のボリュームで立体感を出しています。色味だけでなく、織り方によるテクスチャーの違いでも柄を表現できる点が、織物ならではの魅力です。はっきりとした差を出さずに、色々な角度でほんのりと違った表情が見える、爽やかさとエレガントさを感じる表現にしました。鳥はとぼけた表情が可愛らしく見えて、花々のなかで遊ぶ姿をあえて目立たせることなく馴染むようにしています。
防炎、ウォッシャブルの製品です。

【ドレープ】MM3102・MM3103（バウアー）

1877年にモリスのデザインとして登録された柄で、咲き誇る花々と生命力に満ちた葉が織りなす、楽園のような情景を描いています。重なり合う葉の表情には、織りの立体感と色彩の奥行きが巧みに表現され、空間に深みをもたらします。ナチュラルな風合いのベースの上に、多彩な色使いと光沢のある花々が際立ち、華やかさと上品さが共存する仕上がりとなっています。

クオリティー説明
重なり合うさまざまな種類の葉を、織組織による立体感と、複数の色で奥行きを出しました。ナチュラル感のあるオフホワイトのベースとマットな葉の中から、少し光沢のある花が浮き出るようにしています。総柄で多色づかいでありながら、印象が重くならないようバランスを重視しました。みずみずしい華やかさを出しながらも、カジュアルすぎないエレガントなイメージにしています。
防炎、ウォッシャブルの製品で、椅子張りなどにもおすすめです。

【レース】MM3154（バウアー）

1877年にモリスのデザインとして登録され、生命力あふれる葉や花が咲き乱れる楽園を描いた柄です。この柄を基に、新たにレースの刺繍柄としてデザインされました。光沢のある3色の刺繍糸が繊細に重なり合い、華やかで緻密な絵羽柄として仕上げられています。

クオリティー説明
レースの絵羽柄用（裾に模様や刺繍が入っているもの）として作成し、光沢のある3色の刺繍糸により緻密に柄表現をした華やかな製品です。
ウォッシャブルの製品です。

【ドレープ】MM3104・MM3105（トレント）

豊かで生命力あふれる花柄が印象的なデザインで、1888年にモリス商会によってプリントテキスタイルとして誕生しました。モリスらしい美意識が随所に感じられ、伸びやかなリピートと巧みに構成されたパターンが、空間に広がりをもたらします。生地のベースには、意匠糸と織りの工夫を凝らし、ナチュラルで味わい深いテクスチャーに仕上げています。

クオリティー説明
大胆な柄で華やかさを感じさせながらも、コントラストを抑えて優しい雰囲気に仕上げています。全体のシルエットが美しく見えるよう工夫し、さらに角度によっては柄やベースのかすれ感が浮かび上がるデザインにしています。ベースのかすれたタッチを意匠糸と織組織の工夫で、微かに見えるナチュラルなテクスチャーに仕上げました。かすれたベースの部分と、模様をしっかりと出した花や葉の部分とのテクスチャーの違いは、織物ならではの表現力により実現します。
防炎、ウォッシャブルの製品です。

【レース】MM3155（トレント）

豊かで生命力あふれる花柄が印象的なデザインで、1888年にモリス商会によってプリントテキスタイルとして誕生しました。モリスらしい美意識が随所に感じられ、伸びやかなリピートと巧みに構成されたパターンが、空間に広がりをもたらします。

クオリティー説明
総柄のレースです。ゆったりと伸びやかなベース生地にはナチュラル感を持たせ、柄表現で刺繍糸を2色使い、奥行きを持たせています。
防炎、ウォッシャブルの製品です。

【ドレープ】MM3106（メイズカバーレット）

モリスの娘メイ・モリスがエメリー・ウォーカーの妻メアリーのために制作した、見事なクルーエル刺繍のベッドカバー。その美しい意匠をもとに、織物として商品化されたデザインです。リネン地に撚りの甘いウール糸で施されたクルーエル刺繍の雰囲気を表現するため、ベースにはナチュラルな風合いを持たせ、緑の縁取りは太めの糸でしっかりと描き出しています。

クオリティー説明
リネン地に撚りのあまいウール糸で刺繍した「クルーエル刺繍」の雰囲気を出すために、ベースを紡績糸の風合いでナチュラル感を出し、緑の枠に太い糸でウールのようなざっくりした味わいを表現しています。素朴さを残しながらも花々は少し華やかな色で、高級感が出るように緻密さを表現しています。
防炎、ウォッシャブルの製品です。

【レース】MM3156（メイズカバーレット）

メイ・モリスがエメリー・ウォーカーの妻メアリーのために制作した、見事なクルーエル刺繍のベッドカバーのデザインをもとに、レースの刺繍生地として仕上げました。柄の表現には太い刺繍糸を用いてボリューム感を持たせ、柄に沿った丁寧なステッチが施されています。

クオリティー説明
柄の表現には太い刺繍糸を用いてボリューム感を持たせ、柄に沿った丁寧なステッチが施されています。ロープ状の枠のデザインと、花の中は刺繍のステッチを密にして、葉の中をシンプルな線の表現にすることで奥行き感のある絵羽柄刺繍のレースです。
防炎、ウォッシャブルの製品です。

Morris Design Studioブランドサイトのご案内

「Morris Design Studio」のブランドサイトでは、今回紹介した新柄以外にも、多数のモリスデザインのファブリックや、コーディネートをご紹介しています。
https://www.kawashimaselkon.co.jp/ja/MorrisDesignStudio/index.html