Iridescent Fabrics 耀彩織物

光を採りこみ
玉虫色に変化する西陣織

耀彩織物は見る角度や光の当たり方によって、見え方が変化する織物です。
耀変天目、螺鈿細工など、日本では古くから輝きを持つ工芸品が高く評価されてきました。その和の美意識を、川島織物セルコンが長きにわたり培ってきた伝統技術と現代の技術を掛け合わせることによって、織物に表現することを試みたのがこのファブリックです。
織物表面に配した光の透過で色が変わる多層フィルム糸と、ベースになる織組織との多層構造(多重織組織)になっており、フィルム糸とベース地の組み合わせで耀きと柄を表現しています。
断面が扁平なフィルム糸を引っ張って緯糸(よこいと)に使用するため、断面が円形の糸に比べ厚みや幅にほんのわずかながら差異が生じ、その遊びによって光り方や見え方が変化します。
西陣織には、金箔やプラチナ箔、薄くスライスした貝を貼った和紙を細く裁断して糸状にし、それを緯糸として織り込む「引箔」という伝統技術があり、川島織物 セルコンの中でも脈々と受け継がれています。この引箔の技術を現代に応用し、扁平のフィルム糸を多量に織り込み、本展の耀彩織物が織上がりました。
扁平の糸を大量に機械で織り込むには、扁平糸が裏返ったり折れ曲がったりすることを防ぐ必要があり、織設計(糸と織組織の組み合わせ)、織機の構造、織機のスピードなど様々な検証を繰り返し完成させました。
伝統技術と現代技術を併せ持つ川島織物セルコンだから織れる「耀彩織物」です。
日本の織物、特に京都の織物は織が緻密で、細かな表現が得意です。また、使う緯糸の種類や色数や量が多いため、柄も多彩です。
この「輝彩織物」は、多層構造による耀きの変化に加え、グラデーションの美しさもポイントです。織物でのグラデーション表現は、微細な色差の糸の組み合わせを少しずつ変えて織り重ねていかねばならず、まさに緻密な織物を得意とする京都・西陣のなせる業です。
SEIRYU
BYAKKO
SUZAKU
GENBU