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祇園祭「白楽天山」の前懸と水引を製作しました

京都の祇園祭の山鉾のひとつ「白楽天山」。
舁山(かきやま)を飾る前懸と水引が復元新調され、2023年5月9日に京都文化博物館でお披露目されました。

(左から)小杉源一郎氏(白楽天山保存会代表理事)、復元新調に携わった弊社技術者、
木村幾次郎氏(祇園祭山鉾連合会理事長)、吉田雅子氏(京都市立芸術大学教授)
(右)新前懸・水引
(左)前懸・水引

旧前懸の中央部分は、 16世紀にベルギー・ブリュッセルで製作されたとされ、 古代ギリシャの叙事詩「イリアス」の一場面で、荷物を担ぐ戦士などが描かれてたタペストリーです。18世紀の中国の宮廷服で縫った布を両脇に配し、前懸として仕立て、幕末から昨年の山鉾巡行まで約150年の間、山の前面に飾られていました。 旧水引は、1978年にフランスより 輸入された毛綴れです。いずれも経年劣化に伴い、約1年かけて当社で復元新調しました。

製作に用いられた色糸や試織の一部

製作にあたり、旧前懸を丹念に調査。試織を繰り返し、色目や織りを新調に確認しながら進めました。タテ糸はウール、ヨコ糸はウールとシルクを用い、約290色の糸で製作。両側の紺地に龍と波の模様の幕は、数年前に会所の倉庫から偶然発見されたものを組み合わせています。

復元新調された前懸と水引は、今年の祇園祭の宵山、山鉾巡行で披露されます。保存会の小杉代表理事は「復元新調を通して、幕末の町内の方々の喜びをこれまで以上に想像できるようになりました。今年は当時の町内の方々の気持ちになって巡行したいですね」とお話しになっていました。