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大津祭 西王母山見送幕を製作しました

川島織物セルコンは、湖国三大祭の一つ、大津祭の曳山「西王母山(せいおうぼざん)」の見送り幕「波濤龍雲図(はとうりゅううんず) 綴織」を復元新調しました。2025年9月18日(木)に大津市民文化会館で報道発表会が開催され、お披露目されました。

左)元幕
右)新調幕

見送り幕の元幕は、中国清朝期の図柄を写し、綴織で製作された幕です。左右の綴織を真ん中で繋ぎ合わせて1枚の幕として仕立てられており、日本で広幅の綴織技術が確立されていなかった、日本の綴織作品としては早期にあたる江戸時代後期(18世紀後半)に製作されたと考えられる貴重なものでした。

報道陣に復元新調の経緯を説明する様子

今回復元新調にあたり、元幕の調査を行う中で、龍の顔が横に間延びして不自然なことや、左右の織物の高さが約3cmずれており、図柄が合っていない箇所があるなど懸念点が複数見つかりました。このような点を一つひとつ詳細に検討し、元幕の魅力を生かしながらも、自然で美しい織物に仕上がるよう、約2年をかけて復元新調しました。新調幕では、経年劣化で退色していた地色が色鮮やかによみがえり、図柄も整えられ、華やかな見送り幕に仕上がりました。

左)元幕 龍の顔が幅広になっている
右)不自然な点を整え、元幕製作当初の姿を再現した
左)元幕 左右の2枚の織物が真ん中で繋ぎ合わされているが、約3cmずれている
右)新調幕 図柄のずれが整っている

大津祭保存会の古家会長は「見送り幕を美しくよみがえらせていただいた。大津祭の歴史と伝統を未来に繋ぐことができて嬉しい。多くの方に復元新調された見送り幕を間近で見ていただきたい」と喜びを表しました。

古家弘巳氏(大津祭保存会 会長)

復元新調された見送は、今年の大津祭の宵宮で一般公開されるほか、本祭で西王母山に掛けられます。